国境を超えるあなたを応援します
Linguistic assistance beyond borders

<めじろ奇譚>現在の社内会議

2021年6月18日

昨年から始まったコロナ禍で、わが社は現在もテレワークを約半数のスタッフがローテーションで行っています。ただ、オンラインでは会えても実際にはすれ違いでお互いに会えない社員もいるため、月に一度の会議には全員で集まることにしました。もちろんコロナ対策もしっかりしての開催です。

振り返れば昨年の会議は大変でした。

①2020年7月31日 の定例会議

もっていったモニターが小さすぎて、オンラインで入るスタッフの顔が小さくしか見えませんでした。(実はこれより前にはプロジェクターを使ってZOOMにつないでいましたが、部屋が真っ暗になり、資料が見れないということが分かってやめています。)また、パソコンを一斉につないでおこるハウリングもしばしば。試行錯誤の日々でした。

②2020年8月17日

会場で大きなモニターを借りられることがわかり、少し快適なオンライン会議(現場+オンラインのハイブリッド型)を行えるようになりました。

③2021年6月の会議

今年は3月から定例会議には全員が集まることに変更。窓をあけ、マスクをして、消毒液をつけて、という対策を施しながらも、懐かしいメンバーとの会合も楽しめるようになりました。

外は快晴。コロナに負けず、これからも頑張ります!

<めじろ奇譚> スペインのスペイン語と中南米のスペイン語

2021年6月17日

スペインで話されるスペイン語と、中南米で話されるスペイン語がちょっとだけ違うというのをご存知でしょうか。

スペイン語を憲法上・事実上の公用語としている、または市民の多くがスペイン語を日常的に使っている国や地域は世界に20以上を数えます。
そして、中南米に限ると、現在は以下の国や地域でスペイン語が主な言語として使用されています。

メキシコ、コスタリカ、グアテマラ、エルサルバドル、パナマ、ホンジュラス、ニカラグア、キューバ、ドミニカ共和国、プエルトリコ、コロンビア、ベネズエラ、エクアドル、ペルー、ボリビア、チリ、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ

これらはかつてスペイン帝国の支配を受けていた地域です。
16世紀に帝国が侵攻して以後、その地でもともと使用されていた先住民族のことばに代わって、スペイン語が広く普及しました。

後年スペイン本土では消えてしまった用法が今も残っていたり、現地で新しい用法が生まれるなどして、スペインのスペイン語と中南米のスペイン語がそれぞれ個性を持つようになりました。

実際にどういう違いがあるのでしょうか?
いくつか具体的な例を紹介します。

① vosotrosとustedes
スペイン語の動詞は主語に応じて6パターンに活用されます。
そのうち、2人称複数形の『きみたち』としてvosotrosという言葉があります。
中南米ではこの2人称複数形が存在せず、代わりに、3人称複数形のustedesが使われます。
スペインではustedesは丁寧語なので、例えば同級生にustedesを使うことはなく、2つの言葉を場面に応じて使い分けますが、中南米では同じ表現になるのです。
◆きみたち(あなたたち)の出身は?
¿De dónde sois vosotros?
¿De dónde son ustedes?

◎ちなみにスペインでは、初対面の相手にもtúを使うことが多いです。大家さんとも、バルのウェイターさんとも、市役所の職員さんともtúで話します。
仕事相手などには最初はustedを使った方が無難かもしれませんが、多くの場合túへすぐに移行します。
日本に生まれると、つい無難に丁寧な言葉を使い続けたくなりますが、かたくなに他人行儀な話し方をされると、寂しい思いをする人が多いみたいです。

② voseo
日本でスペイン語を習うと、『きみ』は、túと教わると思いますが、中南米の一部の地域ではtú の代わりにvosがよく使われます。
そして動詞も、vosに応じてtúとは異なる活用をします。この用法はvoseoと呼ばれています。
◆きみは朝ごはんに何を食べたい?
¿Qué quieres comer para desayuno?
¿Qué querés comer para desayuno?(voseo)

③ loísmo/laísmoとleísmo
スペイン語では『彼/彼女/あなたに』という意味で、leという間接目的語を使います。これを、直接目的語lo/laに置き換えるloísmo/laísmoという傾向が中南米では多く見られます。
◆その奨学金について質問するために、彼に電話するつもりだよ。
Le llamaré para preguntar sobre esa beca. (正しい用法)
Lo llamaré para preguntar sobre esa beca. (loísmo)
反対に、正しくは直接目的語を使うべきところで代わりに間接目的語を使用するleísmoという傾向がスペインでよく見られます。
◆さっき図書館で彼女を見かけたよ。
Hace un rato, le he visto en la biblioteca. (leísmo)
Hace un rato, la he visto en la biblioteca. (正しい用法)

④ 時制の使い方
スペインでは、今から見れば過ぎたできごとであっても、それが今朝や今年のことなど、いまが含まれる時間のなかに位置している場合は、現在完了形を使います。
しかし中南米では同様の場合について話すときは点過去形を使います。
◆ねえ、今朝青色の鳥をみたよ!
Oye, ¡esta mañana he visto un pájaro azul!
Oye, ¡esta mañana vi un pájaro azul!

⑤ 発音の違い
・seseoとceseo
スペイン語には[θ](Thank you.のth)の発音をする言葉がありますが、中南米ではそれらはすべて[s]で発音されます。
taza(陶器のカップ)とtasa(レート)はスペインの発音では区別できますが、中南米では同じ発音になります。

・yeísmo
llとyの発音は、llはリャのリに濁音がついたような音、yはヤとジャの間のような音と、
元々異なる発音で区別されていました。
しかし、このふたつを同じように発音するyeísmoという現象がスペイン語圏の広い地域で見られ、特に中南米では顕著です。両方とも『ジャ』っぽく発音したり、『ヤ』っぽく発音したり、地域によってまちまちですが、アルゼンチンのブエノスアイレス周辺では『シャ』と発音されます。

◎日本でも有名なメキシコのトルティーヤと、スペインのパエリア、実はふたつともllの音を持っているスペイン語です。それぞれtortilla、paellaと書きますが、かな表記はヤとリアで違いますよね。日本語には無いllの音がかな表記しづらい証左だと感じます。
ちなみに、現地では『パエリア』と言ってもあまりわかってもらえないので、『パエジャ』と発音するのがおすすめですよ🥘

(林)

参考:福嶌教隆(2004)『スペイン語の贈り物』現代書館

<めざせ語学マスター> 来日外国人の激減について

2021年6月15日

日本語教育能力試験の中には、訪日外客数を問う問題も出てきます。昨年の試験Iの問題15では、2018年に訪日外客数が何人を超えたかを選ぶ問題が出ました。答えは2018年に初めて3000万人を超えたというもの。確かに2019年までは外国人観光客がどこにいってもたくさん見かけられました。

日本政府観光局(JNTO)のホームページには国別、地域別、月別の訪日外客数が出ています。

2020 2019 2018 2017
総数 4,115,828 31,882,049 31,191,856 28,691,073
前年比 -87.1 +2.2 +8.7 +19.3

インバウンド需要がたくさんあり、日本の観光地には日本人より外国人のほうが多いように思えるくらいでした。私たち(翻訳・通訳会社も)も2019年まではガイド通訳や海外への出張する通訳の調整でとても忙しかったです。そう、コロナの影響が出るまでは・・・。

弊社のスローガンは「国境を超えるあなたを応援します」。しかし2020年は国境を誰も超えなくなったときどうするかという新しい問題にぶつかりました。海外出張がなくなり、来日する研修生や観光客がいなくなり、弊社の翻訳を必要としてくださるお客様が海外の調査に行けなくなることで翻訳の需要まで減り・・・。

2021年は4月の途中までの統計で来日外客数は 77,100人、対2019年比98%減と出ています。年末には改善していることを心から祈ります。
ちなみに上と同じ時期、日本に最もよく来ている国籍ベスト5は以下の通りでした。やはり中国系の方の来日が一番多いんですね。(それにしても中国と台湾と香港を分けることに問題はないんでしょうか・・・)

2020 2019 2018 2017
1位 中国 
(1,069,256)
中国
(9,594,394)
 中国
(8,380,034)
中国
(7,355,818)
2位 台湾
(694,476)
韓国
(5,584,597)
韓国
(7,538,952)
韓国
(7,140,438)
3位 韓国
(487,939)
台湾
(4,890,602)
台湾
(4,757,258)
台湾
(4,564,053)
4位 香港
(346,020)
香港
(2,290,792)
香港
(2,207,804)
香港
(2,231,568)
5位 タイ
(219,830)
米国
(1,723,861)
米国
(1,526,407)
米国
(1,374,964)

タイからの来日者数はずっと6位でしたが去年アメリカからの来日者数が減って5位に浮上したようです。

同じ問題(問題15 問2)に、2018年から2019年の東アジアからの訪日外客数の変化を問う問題もありました。中国、台湾、香港、米国からは増えていますが韓国からの渡航が25.9%減っています。日韓関係の冷え込みのせいだそうです。

そうか、2019年に韓国から来る人は減ってたんだー(コロナによる全ての来日数の激減に比べたら少しですが)と新鮮に驚く私。韓国と日本の関係が冷え込んだ翌年の2020年、私はNetflixの「愛の不時着」を全部見ました。妹が「お姉ちゃん、過去いろんな俳優がいたけれど、これほどパーフェクトな俳優はいないよ!」と大宣伝してくれたおかげです。確かに、そのあと私の韓国(と北朝鮮)の見方がかなり変わった気がします。北朝鮮の軍事パレードを見るだけでもちょっとドキドキするようになりました。

日本政府観光局(JNTO) の統計によると韓国へ行く日本人の数は(2017年) 2,311,447人 (+0.6%)、(2018年) 2,948,527人 (+27.6%)、 (2019年)3,271,706人 (+11.0%)と、同時期に増えています。

これにはドラマの影響もあるんだろうなと思うのでした。ソフトパワーの力は馬鹿にできません。

<ある通訳の日誌> 詩の世界 詩のこころ 2

2021年6月14日

詩の世界 詩のこころ
橋爪 雅彦
1
フィッツジェラルド
もり りょう 訳
オーマー・カイヤム「ルバイヤート」四行詩
―前回の続きー

2. 四行詩
19世紀後半、フィッツジェラルドがカイヤムの四行詩集「ルバイヤート」を英訳し、カイヤムの名は全世界に知られるようになりました。それまでは、誰一人、カイヤムの名を知る者はありませんでした。
オーマー・カイヤム、(Oumar Khayyam)は11世紀中ごろペルシャのナイシャプールという都会に生まれました。ペルシャでは、天文学者、数学者、哲学者として名をはせた人で、12世紀初頭に没した模様です。「四行詩」ルバイヤートを残しました。

四行詩というと、これは日本の詩の中にはありえない形です。いいや日本にも四行で書いた詩があるではないかという人もいます。たとえば、吉井 勇作詞、中山 晋平作曲のあの有名な「ゴンドラの唄」などがそれではないかと言う人もいますが、かなり事情は違っています。
いのち短し こいせよ少女おとめ
あかき唇 せぬ間に
あつ血潮ちしおの冷えぬ間に
明日あすの月日のないものを (吉井 勇作詞)

大正時代末期から日本全国どこでも歌われ、現代にいたるまで歌い継がれている有名な唄です。併し、この唄は、この四行だけではなく、これより二番、三番、四番まで歌詞が続いて一つの唄として終わります。

ところが、カイヤムの四行詩というのは、確かに四行で書かれていても、この四行だけで完結します。この四行の中にすべての感慨とか世界観とかを入れ込み、それで終わる詩形です。

ルバイヤート第十九歌(森 亮訳)
河の岸辺にさみどりの叢立むらだち繁き高草たかくさ
そのかぐはしき草にし我等もたるれば、
ああ、かろくもたれてあらん。たれか知る
そはひそやかに麗しき人の口より生ひでしを。

心地よいみどりの高草が
私たちが身を凭れさせる河の岸辺に茂っている
ああ、そっとそっとその身を凭れさせよう、
というのも、眼には見えないが、
草草は、昔、美しかった人の口から生えてきているのを誰が知ろう。

―Edward Fitzgerald  XIX―
(フィッツジェラルド第十九歌)
And this delightful herb whose tender Green
Fledged the River’s Lip on which we lean-
Ah, lean upon it lightly!for who knows
From what once lovely Lip it unseen!

岸辺で緑の草にその身を凭れさせるとき、こころしましょう、その草は、昔、美しかった女性の口から生え出てきたのだから、という発想も僕を狂喜させました。
第一行末尾のGreen、第二行末尾のlean, 第四行末尾のunseenで押韻しています。一行が十音節で構成されてもいます。そしてこの四行だけで詩は完結しています。

さてこのような詩形は日本には全くありませんが、中国にはあるんですね。絶句がそうです。
第一行末尾(起句)第二行末尾(承句)そして第四行末尾(結句)に押韻しています。

唐代の詩人 高適(こうせき)の七言絶句「除夜の作」を引き合いに出します。

旅館寒燈獨不眠 旅館の寒灯独り眠らず
客心何事転凄然 客心何事ぞうたせいぜん
故郷今夜思千里 故郷 今夜千里を思う
霜鬢明朝又一年 そうびん明朝また一年

 誰しも故郷を遠く離れて旅をしている時、あるいは遠い異郷に一人で赴任している時、旅館の部屋の灯のもとに、ひとり眠られず、旅の愁いは凄然と胸に迫ってきます。今宵はるかな故郷を思い、明日にはまた耳際(みみぎわ)の髪の毛が一つ年を取って白くなっていくという感慨を唄ったものです。この詩は、四行二十八文字で完結です。

第一行末尾の「眠」、第二行末尾の「然」、第四行末尾の「年」で押韻しています。

(ここでおやっと思う人もいるかもしれません。「眠」の字に関して私たちはMINと発音します。「然」という字は現代では漢音のままZENと発音することが多いのです。そして最後の「年」は、通常私たちが発音しているのは呉音でNENと発音し、漢音ではDENとなります。

ところが漢詩では、漢音で発音することが通常となっております。
「眠」の字は、一番古い音、呉音ではメン(MEN), 漢音ではベン(BEN),そして慣用音ではミン(MIN)と発音しています。現代の私たちは慣用音のMINだけで発音しています。

漢音で発音することが漢詩の通常である以上、「眠」はBENの発音が適用されます。
そうすると、「眠」はBENであり、「然」はZENであり、「年」はDENであることにより、押韻が正しいことが分かります。)

今、私たちは、詩を味わう立場です。味わう以上、このような押韻の知識やまして絶句の作詞上必要となる様々な規則などは、不問に付することにしましょう。大事なのは、読み、心で作者と共感し、感動することです。

「除夜」を引き合いに出したついでに、芥川 龍之介が除夜の鐘の音を聞きつつ作詞したものを掲げます。

除夜の鐘の 聞こゆれば
雪はしずかにつもるなり
除夜の鐘の 消えゆけば
は今ひとと 眠るらん (「芥川 龍之介全集」より)

すべてクラシックな七五調でそろえています。
除夜の鐘とともに、しんしんと降り積もる雪。そして除夜の鐘の音が消えてゆこうとするとき、かつて愛したあなたは、今、他の人の妻となって、夫なる人とともに眠っていることであろうと。
除夜、鐘の音、雪、そしてあなた。年の最後を彩る役者がすべてそろっているようです。
―続くー

<めじろ奇譚> ロシアのコロナ状況と対策

2021年6月10日

ロシアでのコロナウイルス新規感染者は1日で1万人を超えることはしばしばあります。特にロシアの最大都市であるモスクワで1日で4,000人ほどの新規感染者が報告されることがよくあります。また、ロシア全体の累計感染件数は500万以上あり(総人口の3.5%程度)、コロナウイルスに関係のあると思われる死亡は120,000件も超えています。ただ、集計方法を変えればさらに大きい数字を出せるのではないかという意見もあり、感染者・死亡者の数はロシア国内で論争の的となっています。

パンデミックが勃発直後、ロシア国民でも政府でも「ただのインフルエンザだ」というような過少評価が圧倒的でしたが、感染者数が爆発的に増え始めた途端に、ロシア政府がほかの国と同じまたはそれより厳しい措置をとりました。そのうち、不要不急の外出に対する罰金、マスクとゴム手袋の着用義務化、入国制限、医療用マスクの輸出禁止、公共交通機関での無作為検査、大規模なイベントの中止などが挙げられます。また、展示場や公園などの公共施設が一時的な病院として利用されるようになった一方、遊園地、映画館など娯楽施設が休業となりました。ほとんどのロシア人にとっては、「自宅、最寄りのスーパー、条件付き通勤」の繰り返しがライフスタイルとなりました。

しかし、2020年の冬からロシア製ワクチン「スプートニクV」などの接種が開始され、規制にもかかわらず外出している人の姿がもっとよく見かけられるようになりました。このブログを書いている2021年6月上旬の時点でもワクチンを受けたロシアの人口はまだ全体の12%ほどですが、「コロナ疲れ」のせいか、すでにパンデミック前の生活に戻っている人が少なくないという印象を受けられます。また、それ以上ロシア経済を止めるのは限界があるという恐れからか、コロナ対策として導入された規制が緩和の方向に向かっているのではないかと感じられます。ロシアの学者の中でも、コロナウイルスは将来的に普通の風邪と同じく季節的なものになると考えている方は少なくありません。つまり、ロシア全体は「もう乗り越えられたよ」というムードになっています。

ただ、ロシアへの入国に関してはまだすべての制限が解除されているわけではなく、これからのコロナ収束を願いつつ、今後の入国制限の緩和に期待できればと思います。ちなみに、フランシールでは、国境を超える方々を応援してロシア語や他の言語の通訳や翻訳のサービスを提供しておりますので、お手伝いが必要な場合はぜひお声掛けください。(ロシア語担当)

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