<めざせ語学マスター>日本語教育能力検定試験 今年も受けました

2021年10月26日

今年は大正大学が試験会場でした。昨年は東京外国語大学、その前は明治大学・・・。家族に話すと「ああ、年に一度の大学見学?」と、秋のある一日、朝から母がいない様子は家族内の恒例行事になっているようです。

日本語教育能力試験は朝9時開場、9時50分から1時間半の試験I, お昼を食べて午後12時50分から13時45分まで聴解試験の試験II, その後14時25分から16時40分までが記述式を含んで行う試験IIIという3部構成です。10月末は秋が冷え込み始めるとき。去年も今年もコロナ対策がしっかり行われている中で実施されました。

大きな会場に一つずつあけて座っている受験者は、年齢層もバラバラで、20代の人から定年退職したあとのような高齢層までいます。全体のイメージでは、真面目そうな人が多い様子。そもそも丸1日かけて受ける試験に応募する時点で、気合のある人々なんだと思います。

今回は過去3年分の試験を見直してのぞみましたが、内容としては今年の試験もだいたい過去問と似たような問題だったと思います。今まで通信教育、問題集、ビデオのオンライン授業など受講してきましたが、やりつくした感があり、今年は過去問の内容をノートにまとめたり、このブログを書きながら勉強するという地味な方法をとってきました。

過去に買った問題集もすでに数年前のもので、試験を受けて思ったのは「私は今のトレンドに弱い」ということ。試験Iの問題14には、日本語教師の人数など、まさに業界の現状を問う問題が出ました。「令和元年度の日本語教師等の数」・・・鉛筆を転がす思いで4万6000人を選んだら、・・・ラッキーなことに当たっていました。

実はこのトレンド、文化庁で毎年出ている「日本語教育実体調査報告書」を見れば一目瞭然です。

令和元年度日本語教育実態調査報告書「国内の日本語教育の概要」
令和元年度の日本語教師の数は46,411人。
年代別では60代が一番多いです。10,352人(全体の22.3%)
地域別では、関東の次に多いのは近畿です。
職務別ではボランティアによる者が一番多く、24,745人(53.3%)。
機関、施設等別では法務省告示機関が最も多く、12,933人(27.9%)。

参考までにコロナが襲った昨年の報告書によると、
令和2年度日本語教育実態調査報告書「国内の日本語教育の概要」
令和元年度の日本語教師の数は41,755人。(前年度(46,411人)より4,656人(10.0%)減少)。
年代別では60代が一番多い。9,727人(全体の23.3%)
地域別では、関東の次に多いのは近畿です。
職務別ではボランティアによる者が21,898人(52.4%)。(前年度より2,847人減少)
機関、施設等別では法務省告示機関が最も多く、11,554人(27.7%)。

しかし何より顕著なのは、日本国内での日本語学習者の人数の減少で、令和2年度は160,921 人で、前年度(277,857 人)より 116,936 人(42.1%)の減少。

令和2年度日本語教育実態調査報告書「国内の日本語教育の概要」(パンフレット版)

このコロナ禍での学習者の大幅減少という状況は、来年以降の試験では問われるんでしょうか。

日本語教育人材に求められる資質・能力についてはこちらに記載がありました。
「日本語教育人材の養成・研修の在り方について(報告)」の概要
この中に、1)日本語教師,2)日本語教育コーディネーター,3)日本語学習支援者の三つの分類と段階や活動分野ごとに,求められる資質・能力,養成・研修の在り方及び教育内容が示されています。

①日本語教師 日本語学習者に直接日本語を指導する者
②日本語教育コーディネーター 日本語教育の現場で日本語教育プログラムの策定・教室運営・改善を行ったり、日本語教師や日本語学習支援者に対する指導・助言を行うほか、多様な機関との連携・協力を担う者
③日本語学習支援者 日本語教師や日本語教育コーディネーターと共に学習者の日本語学習を支援し、促進する者

また、その役割・段階ごとに求められる日本語教育人材の資質・能力は「知識・技能・態度」に分けて整理されています。

そして、このように日本語に関する様々な情報を発信する文化庁が行っている事業は、地域日本語教育スタートアッププログラムです。
地域国際化推進アドバイザー派遣は自治体国際化協会。
大規模汎用日本語データベース構築は国立国語研究所
外国人留学生在籍状況調査は日本学生支援機構が行っています。

私は外国人留学生在籍状況調査を文化庁が行っていると思ってしまいました(確か文化庁のサイトで見た覚えがある!と思ったら文化庁の情報に日本学生支援機構のデータが使われていただけだったようです。(;’∀’))。職務別の日本語教師の数では非常勤による者のほうがボランティアより多いと思い、さらに日本語教育人材に求められる資質・能力は「知識・技能・適応力」かと思ってしまい、結果、私はこの問題14だけで5問中すでに3問間違えています。

今年もクリスマスイブにショッキングな通知を受け取る予感・・。
さて来年はどの大学に出かけて行くのかな・・・。

それにしても、こんなに沢山の人が受験する試験なのに、実際は半分近くがボランティアっていう現実を(選択肢の一つとはいえ)試験にするのはちょっと自虐的すぎではないでしょうか。
いくら少子高齢化社会だからって、高齢者のボランティア頼みの日本語教育というのは「未来が明るい」とは思えない気がします。英語教育には熱心すぎるぐらいの日本なのに、日本に住む外国人の日本語教育にはお金をかけないのでしょうか。本当は日本人の英語教育と同じくらい力とお金をかけるべき、いや、日本の将来を考えれば、英語教育より大事かもしれないのでは?(鍋)


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