翻訳メモリとはなんでしょう。
以前のブログ、「翻訳プロジェクトの作成方法」でお伝えした、プロジェクト作成に必要な3つのバケツを思い出してください。
一つは翻訳する原稿。
一つは翻訳メモリ(Translation Memory, TMとも呼ばれます。)。
一つは用語ベース、タームベースとも言いますが、用語集のことです。
翻訳メモリとは、過去に翻訳した文、段落、分節のテキストを保存するデータベースです。
最初にゼロから翻訳をスタートさせるとき、翻訳メモリの容器はカラです。
でも、翻訳をしながら各文節を「確定(Control+Enter)」を押すことで新しい対訳データは翻訳メモリに入っていきます。
でも、本当に今まで似たような原稿、ありませんでしたか?
「そういえば、2年前に同じような翻訳やってた!」
そんな時、翻訳メモリがあったらな、と思うかもしれませんね。
原文と翻訳文、両方あるのに、どっちもワード文書、ということは良くあります。
「翻訳メモリにするのってできないのかな?」
答えは・・・
はい、翻訳メモリは作れます!
でもちょっと手間がかかります。
今回はそんな翻訳メモリの作り方について説明します。
MemoQ ではライブ文書という機能を使って作成することが出来ます。これはTRADOSなどではアライメントと呼ばれる機能と同じです。
ただしワードやエクセルでも翻訳メモリは作れますし、人によってはライブ文書などを頼らずワードで作ったほうが早い、という人もいます。
それではまずはMemoQのライブ文書を使って、日本語と英語のメモリを作ってみましょう。
日本語―英語の翻訳メモリを作ります。
今回はフランシールホームページの「通訳のご依頼の流れ」を例にします。
翻訳メモリを作りたいプロジェクトを開いたら、ライブ文書を開き、「新規作成」を押してここでは「ライブ文書」のバケツ(容器)を用意します。
整合ペアの追加を選びます。
次の画面がでます。
ソース文書を追加します。
(この時、ソース文書(ワードなど)が開いているとエラーがでます。必ずファイルを一度閉じてから作業しましょう。)
ターゲット文書を追加
ファイル名がバラバラだと、下の図のように、「リンクの種類」が真ん中で合いませんが、強制的に整合させることも可能です。その場合はそのまま下部にある「自動制御文書」を押してください。
これでひとまず二つの言語が対になりました。しかしまだ完成ではありません。
先ほどの「整合ペアを追加」の上にある「表示/編集」を開きます。
見るとわかるように、二つの言語は右左で対にはなっていますが、文節の切れ方は正しくありません。ここから地道にセルを分割したり、結合したりして整合ペアが正しくなるように修正していきます。
この位置でセルを結合、分割させたい、という点で右クリックすると選択肢が出てきます。かなり地道な作業になりますが、良い翻訳メモリを作ろうと思ったら集中して頑張りましょう。
全て右と左がそろったら整合の実施をします。
右と左が全て緑の線で繋がったら、完成です。翻訳メモリにエキスポートすればこれら文書は翻訳メモリになります。
お疲れ様でした。
ライブ文書は便利ですが、整合作業はかなり地道で時間のかかる作業です。やっぱり普段から翻訳メモリを使って仕事していればラクだったな・・と思うこともあります。
AI翻訳などで使う対訳コーパスも作り方は同じです。これもライブ文書でも、ワードやエクセルでも作成可能です。
次回はワードで作る方法をお伝えします
ちなみに、弊社ではコーパスや翻訳メモリ作成業務も承りますので、ご相談になりたい方は、こちらにお問い合わせください。対象はデータではないハードコピーや図書でも可能です。また、日本語ー英語でなく他の言語ペアでもお受けいたしますのでお気軽に相談ください。
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