報告書やパンフレット等のフランス語版を作成される皆様のために、フランス人も意外に知らない!?「フランス語での報告書の作り方」をご紹介いたします。
1. アクセント記号
フランス語にはアクセント記号がついた文字が含まれます。「挿入」メニューの「記号と特殊文字」機能を使用してください。大文字にもアクセント記号をつけなければなりませんが、大文字のアクセント記号はつけていない場合も許容されます。
なお、大文字でアクセント記号を省略する場合は、タイトルから本文、図表まで全てアクセント無しに統一することが重要です。統一モレを防ぐために、最初から大文字の場合にアクセント記号を付けておけば間違いがありません。
2. フランス語で入力したい場合
Windowsの使用言語にフランス語を追加する必要があります。フランス語のキーボード配列は英語とかなり違いますので、英語の配列に慣れている日本人には「フランス語(カナダ・マルチリンガル標準)」が使いやすいです。
Windowsで「コントロールパネル」を選び「言語の追加」を選択します。「フランス語」→「フランス語(カナダ)」を選択して言語に追加します。キーボード最下段、左側の「Alt」キーを押しながら「Shift」キーを押すと、言語を切り替えることができます。
3. タイトルでの大文字・小文字の使い分け
タイトルや見出しなど、英語では各単語の頭文字を大文字にすることが多いですが、フランス語の場合は小文字のままで、単語の最初の文字を大文字にすることはありません。
例) | Sustainable Development Goals Report (全ての単語が大文字始まり) |
Rapport sur les objectifs de développement durable(文頭のみ大文字) |
4. 省庁名・機関名
機関名等は、必ずウェブサイト等で確認しましょう。大文字、小文字のルールもそれぞれの団体で決められています。フランス語では一般的に、省庁名は、名詞は大文字で、形容詞は小文字で記載します。
例) | ministère de la Santé publique(名詞は文頭文字が大文字、形容詞は小文字) |
参考 | United States Department of Health and Human Services(文頭文字は全て大文字) |
5. 句読点
フランス語で使用する句読点は以下の通り。英語のクォーテーションマーク “” は使用しません。
: | Deux-points | 「すなわち」の意味。列挙する場合に使用する。前後にスペース(空白)が入ります。 |
; | Point-virgule | 意味的に関連のある二つの文章を繋げる場合、リストを挙げる場合など。前後にスペース(空白)が入ります。 |
! | Point d’exclamation | !の前後にスペース(空白)が入ります。 |
? | Point d’interrogation | ?の前後にスペース(空白)が入ります。 |
… | Points de suspension | …の前後にスペース(空白)が入ります。 |
« » | Guillemets | 日本語の「」と同じ。前後にスペース(空白)が入ります。通常、” ”はフランス語の文章では使いません。 |
( ) | Parenthèses | 日本語の( )と同じ。前後にスペース(空白)が入ります。 |
6. 数字
報告書などで一番やっかいなのが数字です。フランス語の場合、小数点には「カンマ」を使用します。
例) | 英語・日本語 | 1,234,567.89 |
フランス語 | 1 234 567,89 |
また、桁区切りにはスペースを用いるのが正式です。スペースで改行してしまうことを防ぐため、フランス語の場合はespace insécable (Ctrl + Maj + Espace)を使用します。日本語では「改行しないスペース」と呼ばれています。(Ctrl+Shift+スペース)
7. エクセルの場合
「ファイル」→「オプション」→「詳細設定」→「編集オプション」で、「システムの桁区切りを使用する」にチェックを入れ、「小数点の記号」にカンマ、「桁区切り記号」にスペースを入力すれば、自動的に全て変更されます。
8. 文章中の数字
報告書の本文中は、読みやすさの観点から、できるだけmilliard、million等の数形容詞を利用します。
例) | × 3 000 000 dollars | → | 〇 3 millions de dollars |
× 15 000 000 000 euros | → | 〇 15 milliards d’euros |
また、数字と計量単位の間にはスペースを入れます。
例) | × 3m | → | 〇 3 m |
× 120kg | → | 〇 120 kg |
9. 名前の書き方
決まったルールはありませんが、姓を大文字、名前を小文字で書くと姓と名の区別がわかりやすいです。
例) | Jean-Paul HÉVIN (フランス語) | |
ジャン=ポール・エヴァン (日本語) |
※外国人名をカタカナで表記する場合、名前がハイフンで繋がれている時は=でつなぎます。苗字と名前の間のスペースの代わりに・(ナカグロ)を入れます。
2020年より、日本政府が正式に定める日本人の名前の英語表記方法が変わりました。
日本語名 | 2019年まで | 2020年以降 |
安部 晋三 | Shinzo Abe 苗字と区別する場合は Abe, Shinzo Abe Shinzo |
苗字と区別する場合は ABE Shinzo |
省庁やJICAが作成する書類では、フランス語も上記の英語表記に倣って統一してください。
10. 敬称
Monsieur M. 男性
Madame Mme 女性
Mademoiselle Mlle ※未婚女性 2012年以降、性差別にあたるとしてフランスの行政文書では使用禁止
11. 職業・役職などの女性形
肩書がつく場合、できるだけ女性形にするのが最近の傾向です。
例) Madame la Ministre
12. 通貨
日本円はyen(s) japonais。Yenの最初のYを大文字にするべき、複数形にはしない(単複同形)などの説もありますが、以下の表の通りに小文字表記で統一することをお勧めします。
日本円 yens japonais JPY
ユーロ euros EUR
ドル dollars / dollars US / dollars des États-Unis USD
13. 単位
以下のように記載します。
(例) En millions d’euros
Unité : million d’euros
14. 図表の出典・注など
最後にピリオドを打ちます。
(例) | Source : Équipe de l’étude de la JICA. |
Note : Vue d’ensemble basée sur les rapports reçus en 2018. | |
* À l’exclusion de l’Australie et de la Nouvelle-Zélande. |
いかがでしょうか。これらのルールはフランス語ではrègles typographiques(正書法)と呼ばれています。
判断に迷った場合は、弊社のフランス語コーディネーターにご相談ください!
コメントを残す