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<お知らせ>インボイス制度セミナー

2023年3月7日

インボイス制度セミナーを開催しました

先日、10月のインボイス制度運用開始に先立ち、登録通訳者・翻訳者の皆さまを対象に2023年1月24日インボイス制度セミナーを開催いたしました。
当日は弊社でお世話になっている税理士さんを講師としてお招きし、Zoomウェビナーと実地開催を同時に行うハイブリッド形式にて講義をしていただきました。

消費税の仕組みといった基本的なことから、個人事業主として消費税の納め方にどういう選択肢があるのかなど、基本的な内容を中心に解説していただきました。

ご参加いただいた皆さまからは、「勉強になった」「わかりやすかった」など、想像以上に多くの好意的なご感想をいただけましたが、「もっとこういうことが知りたかった」など、ご意見やご要望もたくさんいただきました。

今のところ開催時期は未定ですが、制度のことを詳しく理解した上で納得のいく選択をとっていただけるよう、今後もテーマを変えてインボイス制度については翻訳者や通訳の皆様に情報を発信セミナーを開催していきたいと考えています。

株式会社フランシール 代表取締役 伊藤尚江

<お知らせ>ソーシャルファームの予備認証事業者になりました

2023年3月7日

多国籍かつ障害のある人、ない人がそれぞれの能力を生かして働ける職場をめざして

フランシールでは、就労に困難を抱える方と従業員がともに働く企業をめざすため、昨年東京都ソーシャルファームの予備認証申請をし、2023年2月1日、ソーシャルファームの予備認証事業者として認定されました。

語学だけでなく、各個人の特徴や能力にあわせて仕事の設計ができ、かつ社員同士も国籍や文化、障害などについてお互いを理解できる場所になります。

また、そのような差異が会社全体の創造力や力の源泉になり、さらに発展することを目指します。

東京都ソーシャルファーム 予備認証事業者一覧のページはこちら

https://www.social-firm.metro.tokyo.lg.jp/social-firm/companies/reserve/page/2/

株式会社フランシール 代表取締役 伊藤尚江

<お知らせ>お問合せメールの不具合について

2023年3月7日

平素は、格別のご厚情にあずかり深く感謝申し上げます。

お問合せメールの受信にて不具合の報告があり、現在原因を調査しております。

翻訳や通訳についてお見積り依頼やお問合せをいただいたお客様におかれましては、お問合せメールを送信後、弊社からの返信メールなどが届かない場合は、念のためにお電話頂けますでしょうか。(03-6908-3671)

お手数をおかけしますがよろしくお願い申し上げます。

代表取締役 伊藤尚江

<めじろ奇譚> 「すずめの戸締まり」を見ました

2023年2月2日

「すずめの戸締まり」は、2022年に公開された新海誠監督の日本のアニメーション映画です。

映画は、九州に暮らす高校2年生の女子(スズメ)が、謎の青年(ソウタ)に出会って、扉を閉めることで災いを止める「閉じ師」として旅をすることになるまでを描いています。 主人公のスズメは、扉を見つけた際に幻想的な風景が広がっていることに魅了されますが、それが原因で日本各地に災いが訪れることが判明します。

そして、彼女はソウタと共に扉を閉め、鍵をかけることで災いを止めるために旅をすることになります。 映画は、スズメとソウタが日本各地を巡りながら、謎の猫(ダイジン)を追っていく様子が描かれています。

ダイジンは、ソウタを小さな椅子の姿に変えてしまうため、彼らにとって大きな脅威となります。そして、映画は二人が共に心を通わせながらある真実にたどり着くまでを描いています。 本作は、見応えのあるアクションシーンや美麗な景色など視覚的な魅力に加え、主人公たちが成長しながら旅をする姿が非常に面白いです。特に音楽は映画全体をより一層魅了し、感動的なシーンに深みを加えています。

主人公が国内旅行をすることで、日本の地方の魅力を知ることができるチャンスが生まれます。また、この映画を見ることで、新海監督の以前の作品よりも、ジブリの映画の影響を感じることができます。見終わった後には深い感動を覚えることが出来ますが、複雑な要素が多く、分かりにくいところもあると感じる方もいるかもしれません。例えば、主人公は多くの(その後特に関係が発展するわけでもない)登場人物と出会い、自然災害は映画の中で多様なテーマの中のファンタジー要素として扱われていますが、このような混合は時に外国人が見ると少しとまどいを感じるところです。(DENIS Damien)

<お知らせ> 2023年 新年のご挨拶【株式会社フランシール】

2023年1月4日

新年明けましておめでとうございます。
皆様の夢や目標が叶えられるよう、願っております。
Greetings and Best Wishes for the New Year from us at Franchir!
May 2023 bring you good health, happiness and success in all your endeavors.

社員一同からの年賀動画はこちらです:
Click here to view our video greeting on YouTube:

2023年もよろしくお願いします!
We look forward to working with you again in 2023!

Sincerely,
何卒宜しくお願い致します。

株式会社フランシール | FRANCHIR Co., Ltd.  社員一同

<お知らせ>★年末年始休業日のご案内★

2022年12月26日

誠に勝手ながら下記期間は業務をお休みさせていただきます。
2022年12月30日(金)~2023年1月3日(火)
2023年1月4日(水)からは通常通りの営業となります。
※年明けの納品をお考えの場合は、お早めにコーディネーター迄ご相談ください。
休業期間中はご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご了承の程お願い申し上げます。

FRANCHIR CO., LTD. will be closed from December 30, 2022 to January 3, 2023 for the winter holidays.
We will be back in the office on Wednesday, January 4, 2023. Thank you very much for your understanding.
Please contact the relevant coordinator if you have any upcoming projects you would like completed over the holiday period.

FRANCHIR CO., LTD. fermera ses portes du 30 décembre 2022 au 3 janvier 2023 pour les vacances d’hiver.
Nous les rouvrirons à partir du 4 janvier 2023. Merci de votre compréhension.
N’hésitez pas à contacter le coordinateur concerné si vous avez le moindre projet que vous souhaiteriez voir achevé avant la fin de l’année.
Franchir vous souhaite un joyeux Noël et de très bonnes fêtes de fin d’année.

Просим обратить внимание, что наша компания будет закрыта с 30 декабря 2022 г. по 3 января 2023 г.
Мы снова начнем работать в обычном режиме с 4 января 2023 г.
Если Вы планируете обратиться к нам по вопросу оказания переводческих услуг, которые нужно завершить в новогодний период, просьба обращаться заранее к координатору нужного Вам языка.
Приносим извинения за причиняемые неудобства.

FRANCHIR CO., LTD. se cerrará a partir del 30 de diciembre del 2022 al 3 de enero del 2023 por las vacaciones de invierno.
Volveremos a la oficina el 4 de enero del 2023. Le agradecemos por su comprensión.
Por favor no dude ponerse en contacto con el coordinador pertinente en caso de que tenga algún proyecto nuevo que desea ser entregado antes del fin del año.
¡Les deseamos a todos una Feliz Navidad y próspero Año Nuevo!

 

<めじろ奇譚>文化を結びつけることわざ「寿司詰め」

2022年12月1日

文化を結びつけることわざ「寿司詰め」


交通機関のラッシュアワーや人気バンドのコンサートなど、一歩も動けない人混みの中にいたことは、誰もよくあることかと思います。
面白いのは多くの国でこのような状況を表すイディオムがあることです。
例えば、日本には「寿司詰め」という表現がありますね。
由来はもちろん折り箱に詰まっている寿司のことです。
そう、日本の名物№1の、あの「お寿司」です🙂

でもこれ、実はロシアにも似た表現があるんです。
«Как сельди в бочке» ―「樽の中のニシンのように」。

由来は以下の通りです:
漁船の船長さんが仕事で町にやってきて、ある朝、バスで役所に向かいました。しかし、そのバスは混んでいて停留所で降りられず、哀れな船長は終点まで乗ることになりました。そのまま乗って帰りに降りようと思いましたが、またしても出れません。結局、丸一日、絶望的にバスの中で過ごしました。彼は手ぶらで船に戻り、獲れた魚を見て、バスの中の自分を思い出して、「樽の中のニシンのように」と、未来のイディオムを口にしました。

欧州でも同様の表現があります。
“Packed like sardines” ―この英語の由来は恐らくイワシを缶詰にする際、密に詰め合わされることから名づけられたものだと思います。
同じニシンの缶詰からフランス語では“Serrés comme des harengs en boîte” 、ドイツ語では“Wie die Heringe”というそうです。

驚くのは、国が違っても、魚がイディオムの素材として使われていることです🤓
あなたの国にも同じようなことわざがありますか?

(Svetlana TERKINA)

こちらもご覧ください。

<めじろ奇譚> 文化を結びつけることわざ part5(目は心の鏡)
<めじろ奇譚>文化を結びつけることわざ part4 人は見かけによらぬもの
<めじろ奇譚>文化を結びつけることわざ part3(二兎追う者は一兎を得ず)
<めじろ奇譚>文化を結びつけることわざ part2、ワニの涙
<めじろ奇譚>文化を結びつけることわざ Part1 豚に真珠

 

 

<めざせ語学マスター>日本人は受身文が好き?(ヴォイス)

2022年11月17日

日本人は受け身が好き?
ヴォイスについて

日本語のレポートには「維持管理機材が整備された」や、「感染症対策が強化された」などの受身文が多く見られます。英語でこれらすべてを受身文にすることも難しく、翻訳者は「主語は誰?」と悩むことになります。しかし調査レポートなどでは「we」などの主語はあまりなじまず、抽象的な主語を使ったり、あえて直訳調にしたりして主語をごまかす必要もあります。なぜなら、日本語の主語は「当然わかる」というものもあれば、あえてはっきり示さない場合があるからです。それを自然な流れに訳せるかというのも翻訳者の力量です。

このように日本語は主語をはっきりさせたくないときに受身文を選ぶことがあります。でももちろん外国語でも同じ目的で受身文を使う場合もあります。文章が受身文か、能動文か、という観点は、日本語教育を学習するときには「ヴォイス」という項目に出てきます。ヴォイス(VOICE)とは、普段英語で習うところは「声」のことですが、ここでは動詞の「受動態(受身文): passive voice」や「能動態(能動文): active voice」などの「態」にあたります。

日本語の受身文の作り方と英語の受身文の作り方
英語の能動文は典型的な語順では主語を最初におきます。主語は動詞の実行者(doer) または動作主(agent)と呼ばれます。受身文では、動作がなされた人や物が主語になります。実行者や動作主は省略されたり、byを使って前置詞句に置かれたりします。
つまり、英語の場合、受身文を作る方法は
① 動詞を活用させ
② be動詞を付加
③ 語順を変えて
④ byを付加する
がそのルールです。

英語の受身文も、文節の焦点を変更したいときか、動詞の実行者は重要でない、あるいはわからない場合やだれかを言及したくないときに使います。

英語が語順を変化させるのに対して、日本語は語順をかえなくても能動文を受身文に変更できるところが特徴です。

日本語は
① 格助詞を変えて
② 動詞を活用させて
③ 助動詞を付加すれば受身形が作れます。語順に対する制約は英語のようにはありません。

直接受身(direct passive) と持ち主の受身(possessive passive)と間接受身文(indirect passive)
上記のように「出版する」→「出版される」、「設計する」→「設計された」のような明らかに能動文の文章から受身が作られた、あるいは能動文をすぐに作れるような受身の文章は直接受身と言われます。一方、英語にはなく、日本語に特徴的な受身として、持ち主の受身(身体部分+身体以外)間接受身があります。(持ち主の受身も間接受身に含める場合もあります。)

下の二つの文章を比べてみてください。

受身文 :ママにお尻を叩かれた。
能動文 : ママが僕のお尻を叩いた。
受身文 : 獅子舞に頭を噛まれた。
能動文 : 獅子舞が私の頭を噛んだ。

この二つの受身文では主語の「僕」や「私」が消えています。残っているのは「僕のお尻」のうちの「お尻」と「私の頭」のうちの「頭」です。主役の「僕」と「私」は消えてしまいました。これが「持ち主の受身(身体部分)」です。また、この主役が消える現象は、身体でなくても起こります。

受身文 : 自転車が盗まれた
能動文 : 泥棒が私の自転車を盗んだ。
受身文 : バッグが盗まれた。
能動文 :  泥棒が私のバッグを盗んだ。

主役の私はいなくなり、自転車やバッグが残ります。ですがこの受身文だけで主役は「私」なんだな、と分かります。これが持ち主の受身(身体以外)です。

ではもう一つの間接受身とはなんでしょうか。
下の例を読んでください。

能動文 :  雨が降る。 受身文 : 雨に降られた。

ここでは、「私」は雨の持ち主でもないのに受身文になっています。
この受身文では、能動文には含まれない「私」が主語になっています。元の能動文に含まれない第三者が影響を被るのが間接受身文です。受身文が主役の迷惑だなと思う感情を表しているので「はた迷惑の受身」とも言います。(同じ迷惑そうでも「私は彼にぶたれた。」などの文は「彼が私をぶつ。」という能動文が成立するので直接受身です。)

この間接受身は、ポジティブな内容も暗くしてしまう効果があるので要注意です。例えば「先生に教えられた」とか、「お医者さんに治された」なども、聞いた人によっては「実は教えてもらいたくなかったのかな」「治されたくなかったのかな」と思ってしまうわけです。
ただしこの迷惑感は、無生物が明らかに主語の場合はなくなります。
「扉は開かれた。」
「窓が開けられた。」
つまり迷惑感が出るのは
「扉を開かれた。」
「窓を開けられた。」
など、主語が私(や私たち)である時です。

日本語の受身文は使い方がかなり難しくて微妙なことがわかります。一歩間違うと出てしまう「迷惑感」は気を付けないといけません。冒頭の「維持管理機材が整備された。」や「感染症対策が強化された。」も「維持管理機材を整備された。」や「感染症対策を強化された。」としたら、助詞を一つ変えただけなのに突然迷惑そうな「私」や「私たち」が文章からわきあがります。もしこれが原稿なら翻訳もガラリと変えなければなりません。

日本語の文章はタヌキみたい?

最後に、ヴォイスとは文章の視点が移動することなので、能動文VS受身文、だけでなく、能動文VS使役文(彼が窓を開けた。/私は彼に窓を開けさせた。)や、「貸すVS借りる」や「あげるVSもらう」などの動詞のみの対立も視点を変えるという意味でヴォイスの一種になります。(鍋)

 

<めざせ語学マスター>日本語教育や語学に関する他のブログはこちら
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<めじろ奇譚>合成音声とナレーション、どっちがいい?

2022年10月21日

コロナ禍に始まった遠隔通訳や遠隔研修などの影響で、フランシールにも動画の字幕作成やナレーションの吹き込みといった業務の依頼も増えました。Youtubeにも簡単に動画をアップできますし、たとえネットの環境が悪い研修であっても、あとからアーカイブで動画を振り返ることも出来ますし動画はとても便利です。

お客様からAIの合成音声データが送られてきてパワーポイントに挿入してほしい、というご依頼もありました。日本語や英語なら自分たちで確認できるけれど、フランス語やロシア語などの音声は確認できないので、正しく挿入してほしいというご依頼です。

確かにAIによる合成音声は、作成がとても楽でテキストがあればあっという間にできます(弊社ではMICROSOFTのAZUREを利用)。ナレーターの時間を拘束するよりずっとコストも低いしスタジオの用意も必要ありません。しかし、AIにも漢字を読み間違えたり、アクセントがおかしかったり、文章の間がつまってしまったり、聞いていると微妙だな、というところはまだまだあります。またモノトーンすぎて聞いていて眠くなるのも一つの特徴でしょう。

同じ講義でも現場で講師を目の前にするのと、モニターで参加するのとは緊張感が違います。また、同じ遠隔でも講義をライブ配信で見るときは「今すぐに質問したら先生が自分に答えてくれるかも」というインタラクティブな感覚をもてそうですが、録画ではイマイチ緊張感を保てないかもしれません。それが熱をもった講師の声ではなくAI音声だったらなおさらです。

なのであまり長い動画には現状は不向きかもしれませんが、短い動画をいろんな言語で作りたい、というのならそれはコストも安くてお勧めです。

例えば以前弊社で作成したオンライン会議の仕方(ZOOMの使い方)の動画を人の声とAI音声で比較してみましょう。

まずは人の声バージョン(日本語)

こちらはAIの合成音声です。(日本語)

皆さんはどちらがお好みですか?

以下はスペイン語バージョンの人の声。

次はスペイン語バージョンのAIの合成音声版。

好みもあるかもしれませんが私はやっぱり人の声の方がいいな、と思います。皆さんはいかがでしょうか。

最後に、合成音声は多くの言語で簡単に作れますが、やはりネイティブが確認しないで使うのは危険です。真面目な話でも失笑をかったり、あるいは失礼になることもあるので必ずその言語のネイティブに確認してからお使いになることをお勧めします。

フランシールでは多くの言語のネイティブスタッフがいますのでお困りのときには是非ご相談ください。(N)

お問い合わせはこちらまで:https://franchir-japan.com/contact

よろしくお願いします。

 

<MemoQマニュアル>MEMOQでエクセルファイルを翻訳する(翻訳コーディネータ編)

2022年9月21日

今回は、MEMOQでエクセルファイルを翻訳する時、すべてのシートや列を翻訳するのではなく、一部だけを翻訳する方法を説明したいと思います。

まずは、対象のMEMOQのプロジェクトを開きます。

そして、メニューの「インポート」ボタンの下にある矢印を押して、「オプションを設定してインポート」を選びます。

「文書のインポートオプション」という画面が出てきます。その中、「フィルタと構成を変更」を押します。

「文書のインポート設定」の画面に変わります。こちらからエクセルの中の範囲を特定して、その範囲だけをインポートする、またはインポートしない、ということを設定できます。

簡単にインポートしたい範囲の選び方は「Excelで範囲を選択」です。このボタンを押せば、対象のファイルが開かれて、インポートオプションの画面も出てきます。

こちらでは、必要な範囲を選択し、「範囲を追加」を押します。そうすれば、その範囲は特定されます。

「完了」を押すと、特定した範囲は設定の画面にも表示されます。

また、「範囲を追加」というボタンで手動によって必要な範囲を設定できます。

そして、範囲特定済でしたら、「OK」ボタンを押して、インポートを続けます。

インポートしたエクセルファイルをMEMOQで開いてみたら、特定しなかった範囲はView Paneに表示されていても、翻訳作業はできないという状況を確かめられます。

これで、エクセルの一部のインポート方法は以上です。

★その他のMemoQ プロジェクトはこちら★
ユーザー登録の方法(翻訳コーディネータ編)

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翻訳プロジェクトの作成方法
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翻訳中の文書から用語集を登録する

<お知らせ>機械翻訳をお使いの方へ

2022年9月12日

フランシールも会員になっている「一般社団法人アジア太平洋機械翻訳協会」から「MTユーザーガイド ― 機械翻訳で失敗しないための手引き ―」が公開されました。

Googleに始まり、今はDEEPLやMicrosoft, Amazonなど様々な機械翻訳が無料/有料で使えるようになりました。でも、その仕組みやリスク、人の翻訳との違いや法律上気を付ける点などはまだよく知られていません。

翻訳会社に翻訳を依頼しようとするお客様や個人翻訳者、あるいはライターや学生さんも一度読んでみてほしいガイドです。是非ご参照ください。

MTユーザーガイド ― 機械翻訳で失敗しないための手引き ―

一般社団法人アジア太平洋機械翻訳協会 Asia-Pacific Association for Machine Translation (AAMT):機械翻訳の研究開発者、製造販売者および利用者の3者で構成された、機械翻訳システムの開発・改良・啓蒙・普及を通じて機械翻訳の発展を目標とする組織です。フランシールは昨年、2021年に会員になりました。

株式会社 フランシール

<お知らせ>求人情報(英語・フランス語・ポルトガル語)

2022年9月12日

現在フランシールでは、下記の新規採用情報を掲載しております。ご関心のある方は是非下記各リンク先のページからご応募ください。一同お待ちしております。

翻訳・通訳コーディネーター(フランス語契約社員)

日英翻訳(通訳)派遣(人材派遣)

フランス語/ブラジルポルトガル語 同時通訳者・チェッカー募集(フリーランス)

株式会社フランシール 人事担当

<めじろ奇譚> 文化を結びつけることわざ part5(目は心の鏡)

2022年8月17日

目は心の鏡

「目はその人の心を映し出す鏡のようなもの。だから、目を見ればその人の心のさまが読み取れるのである。」

今回の記事では、世界の多くの国で知られている古代ラテン語のことわざ「Vultus est index animi」についてお話ししたいと思います。この表現は、紀元前 100 年に古代ローマのマルクス トゥリウス キケロによって最初に使われたと言われています。シェイクスピア(イギリス)やトルストイ(ロシア)など、有名な作家の作品でも使用されてきました。

英語では«The eyes are the window of the soul»,

フランス語では «Les yeux sont le miroir de l’âme»,

ロシア語では «Глаза — зеркало души»,

ドイツ語では «Das Auge ist der Seele Spiegel»,

そして日本語では«目は心の鏡»と呼ばれています.

このことわざは何を表現しているのでしょうか?
プラトンでさえ、自分の作品「ティマイオス」の中で、目が私たちの内なる世界を反映する珍しい機能を果たしていると書いています:
「事実、特に純粋な火が私たちの中にあり、日の光に似ているということです。その火は私たちの目から均一で濃い流れで流れ出します。」

確かに、目の表情によって、人の気分や内面の状態、会話への関心、真実を語っているかどうかを判断することができます。多くの心理学者は、アイコンタクトを使って人を催眠状態にし、魂の隠れた隅に到達します。人が真実を言っているのか、嘘をついているのか、何かを隠しているのかを目で分かる方法で説明する科学もあります。

目は、私たちだけでなく周りの人にも情報を伝える素晴らしい感覚器官です。そのため目は、性格、気質、経験、感情、思考、夢など、魂がこの世に生まれてから歩んできた道全体を反映する鏡だと例えられるのでしょう。

あなたは周りの人々の目を見て心を読み取れますか?

(Svetlana TERKINA)

<めざせ語学マスター>モダリティーの「ね」

2022年8月14日
Nさんへ

お客さんから今回のお仕事はキャンセルになったと言われました。
もう少し見積りを安くしたほうが良かったですかね。
次からは気を付けますね。とりあえずお客さんに確認してみますね。

Aより

私は同じ職場の外国人スタッフ(部下)からこういったメールをもらうことが結構あります。
普段はお客さんに丁寧なメールを書いているスタッフも、社内の人宛にはもっとフランクになるのですが、なぜか少し違和感を覚える文章が時々送られてきます。

なぜ違和感を覚えるのでしょうか。
日本語としては一文一文おかしくない。でもまとめてみるとなんだか変。

長年この手の「なんだか・・ちょっと・・」という事に違和感を抱いていたことが日本語教育能力試験の勉強をしてみて「これか!違和感の理由は!」と理解できることが多く、私にとっては収穫でした。

今回は久しぶりに日本語教育の中に出てくる文法カテゴリーのうちの「モダリティ」について考えます。

例えば「次からは気を付けますね。」は「次からは気を付けます。」これが文章の中心。そして「ね」はその文章全体を包み込むように話者の気持ちを表します。ここで表す気持ちは「仲間意識」のようなものでしょうか。

文章の中心を「命題」とすると、モダリティの役割は以下のようなイメージでしょうか。

 

ちなみに、文章の最後にある「ね」は文法的には「終助詞」の一つで、文の後ろについて話者の気持ちを添える働きがあります。「ね」のように話し手の気持ちを追加するモダリティの表現には次の2つがあります。

判断のモダリティ その文で述べている事柄に対する話し手の心的態度を表す
(例:のだ、わけだ、はずだ、ことだ、そうだ、ようだ、らしい、に違いない、かもしれない、だろう、まい・・)
伝達のモダリティ その文を聞き手にどのような気持ちで伝えるのかという話しての心的態度を表す
(例)、よ、よね、ぞ、ぜ、わ、さ)

つまり「ね」は伝達のモダリティを表しています。このうち「ね」は相手に同調を求めたいときによく使います。

歌の歌詞にも「あの日を思い出してね」「これからもどうぞよろしくね」「多分わたしじゃなくていいね」「ごめんね」など、「ね」はよく使われます。この「ね」によって、聞き手は歌い手の気持ちにより寄り添いやすくなるのもしれません。事実、「ね」は、仲間意識、連帯感を強調したいときによく使います。ただ、この場合の「ね」は省略することも出来ます。(任意の「ね」

しかし、「ね」にはもう一つの用法もあります。

次のアルバイトの面接風景を見てください。

面接風景なのになんだかせりふが変な気がしませんか?面接官は一体何を確認したいんでしょうか。でも下のようにすると違和感がなくなります。

なぜ「ね」が必要なんでしょう。
それは「ね」の前の情報がなんなのかを考えてみたらわかります。
面接官は履歴書を見ながら情報を確認しています。つまり、面接官は、アルバイトの候補者がすでにわかっていることを確認しています。ここでの「ね」は双方で確認するときの「ね」です。この時の「ね」は省くことが出来ません。(必須の「ね」

さて、記事の最初にもどってメールの件。結局、連帯感を出そうとした「ね」が多すぎて受け取る人が「どれだけ同調求めてるの?」と感じるところに問題がありそうです。
試しに「ね」を消してみます。

お客さんから今回のお仕事はキャンセルになったと言われました。
もう少し見積りを安くしたほうが良かったですか。
次からは気を付けます。とりあえずお客さんに確認してみます。

結構普通の文章になりました。

こうやって見てくると、メールなどのメッセージでは「寒い日が続きますね。」とか「もうすぐ年末ですね。」など、お互いに分かっている季節の挨拶以外は、あえて連帯感を出そうという「ね」は使わないほうがよさそうに思えます。特に相手がお客や先輩、上司の場合は「ね」の多用は「上から目線」や「なれなれしい」などと思われる可能性もあるので注意したほうが良いと思います。(鍋)

おまけ
1,モダリティには「副詞のモダリティ」もあります。例えば「どうぞ・・・ください。」の「どうぞ」や、「どうやら・・・らしい」の「どうやら」。他にも「残念ながら」「あいにく」などの副詞も、文の意味に話し手の心的態度を追加する「モダリティ」です。

2,英語のモダリティはmay, could, must, should やpossibly, necessarily などがあります。日本語では述語の前にモダリティがつくんですね。

 

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学校文法と日本語教育文法
日本語教育能力検定試験に落ちました

 

<お知らせ>モンゴル語(通訳)、インドネシア語(派遣)を新規募集しています。

2022年8月6日

フランシールではアジア言語の需要の増加から、現在下記のスタッフを新規募集しております。

詳しくはそれぞれの採用ページをご覧ください。

2022.08.06 モンゴル語通訳・翻訳者(フリーランス)募集

2022.08.05 【新規募集】インドネシア語事務派遣

ご関心のある方のご応募をお待ちしております。よろしくお願いします。

株式会社 フランシール

<お知らせ>情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証を取得しました

2022年7月31日

2022年7月27日、 株式会社フランール(本社:〒171-0031 東京都豊島区目白4-19-27、代表取締役:伊藤尚江)は、国際規格の情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証を取得しました。

1. 認証番号: IR0141
2. 認証組織: 株式会社フランシール
東京都豊島区目白4 19 27
3. 認証範囲:翻訳および通訳業
語学を生かした人材派遣および有料職業紹介業
言語コーパスの構築
適用宣言書:第 1.0 版

4. 審査基準: JIS Q 27001:2014 (ISO/IEC 27001:2013)
5. 判定結果: 初回認証

今後もフランシールは、情報セキュリティマネジメントシステムの運用管理、継続的な改善への取り組みを通じ、ご依頼いただくお客様、ご協力いただいている翻訳者様、通訳様、その他すべての関係者様にとって安心できるサービスの提供を続けてまいります。引き続きよろしくお願いいたします。

株式会社フランシール 代表取締役 伊藤尚江

<めざせ語学マスター>未来の翻訳者養成をEMTに見る

2022年7月24日

前回のブログではフランスの大学院、ESITの翻訳部門に入学するための条件などについてみてみました。今日はそんなESITもメンバーになっているヨーロッパの高等教育機関のパートナーシッププログラムとフレームワークについて見てみようと思います。

ヨーロッパ翻訳修士課程(European Master’s in Translation:EMT)は欧州委員会と、翻訳プログラムがある高等教育機関(修士レベル)間のパートナーシップ・プロジェクトです。

このパートナーシップでは、EUの高等教育機関で翻訳者を目指す学生の基本的な能力を定義し、彼らの能力を向上させることで長期的にはEUにおける翻訳業全体の地位を高めることを目指しています。プロジェクトの中核となるのが、専門家によって作成されたEMTコンピテンスフレームワークで、翻訳者が今日の市場で活躍するための基本能力を示しています。EU圏外でも、このフレームワークをモデルとしてプログラムを設計する大学が増えているようです。

メンバーの大学には、フランスでは先日のブログで紹介したパリ第3大学(ESIT)を含むフランス他、ベルギー、ブルガリア、チェコ、ドイツ、エストニア、アイルランド、ギリシャ、スペイン、イタリア、ラトビア、リトアニア、ハンガリー、マルタ、オランダ、オーストリア、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スロベニア、スロバキア、フィンランド、スウェーデン、レバノン、イギリスの大学がリストに記載されています。
(https://ec.europa.eu/info/resources-partners/european-masters-translation-emt/list-emt-members-2019-2024_en)

EMTメンバーは定期的に会議を開催し、意見交換や、カリキュラムや教育方法の革新などについて協力し合います。また、例えば、ツールや技術、研修生制度、雇用者の期待などの最新の動向を把握するため、言語業界と密接な協力関係を築いています。学術界と産業界の対話も、EMT理事会と言語産業理事会により進められています。

EMTは2009年1月に「翻訳者と翻訳能力のためのフレームワーク」を発表しました。
このフレームワークは、現在ではEU圏内だけでなく、世界中の学術界や言語産業界において翻訳者養成や翻訳能力についての主な参照基準になっています。ただ、翻訳業界や欧州の大学の変化にあわせて、この枠組みも見直す必要が出てきました。

しかし技術革新が進み、フレームワークが発表されて以来、翻訳業界に大きな変化が起こりました。国際共通語としての英語需要の高まり、AI技術やSNSなどの発展により、コミュニケーションや翻訳方法も大きく変わりました。機械翻訳はデスクトップでもモバイルでも簡単に利用することが出来るようになりました。

このような変化の中、技術的・社会的変化を学生の養成プログラムに取り入れるため、2016年10月、ETM理事会は新しい枠組み、European Master’s in Translation(ヨーロッパ翻訳修士号) を発表しました。将来の卒業生が市場の課題や機械を理解し、修士課程卒業後に役立つ市場に応じた技術をもてるように計画する必要があったのです。

フレームワークでは、翻訳者に必要な「能力(competence)」について、5つの主要な領域(area)を定義しています。またそれぞれに記述されるスキルについては領域間で重複しているものもありますが、どれも翻訳サービスを提供する上で必要なスキルです。

領域1 LANGUAGE AND CULTURE (言語と文化)
領域2 TRANSLATION (翻訳)
領域3 TECHNOLOGY (技術)
領域4 PERSONAL AND INTERPERSONAL(個人と対人)
領域5 SERVICE PROVISION (サービス提供)

以下それぞれの領域で述べられている能力を見ていきます。

領域1:言語と文化(LANGUAGE AND CULTURE)

言語的、社会言語的、文化的、比較文化的な言語能力で、翻訳能力の基礎となる総合的、専門的な能力のことです。EMTでは、受験生は少なくとも2つの実務用の言語(working language)でCEFRレベルC1以上(英検なら1級以上:“CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)って何?”参照)、または同等のハイレベルな言語能力が、翻訳修士号コース入学の前提条件であるとしています。

一般に、主なターゲット言語(翻訳後の言語)を言語A、主なソース言語(翻訳前の言語)を言語B、その他の言語をC、Dなどと表記します(ヨーロッパの通訳事情翻訳事情参照)。EMTは、翻訳者の主なターゲット言語がCEFRのレベルC2(CEFRの最高レベル)、あるいはネイティブかバイリンガルの能力を有することとしています。つまり、母語レベルの言語に訳す、というのが基本です。ただし、国により言語の事情も違うので、ヨーロッパ全体で一概に同じ言語数、言語レベルが求められているわけではありません。

領域2 翻訳(TRANSLATION)

本フレームワークの中心ともなる翻訳能力は、二言語間の意味伝達だけではなく、文書の分析から最終的な品質管理手続きまで、翻訳前、翻訳中、翻訳後に渡る以下のような全ての戦略的、方法論的、テーマ別能力を含みます。(*各項目の原文はSTUDENTS KNOW HOW TO…となっていますがここでは「力」としました。)

1 原文を分析し、テキストや認知上の課題を特定、コミュニケーション上のニーズに沿って文章を再構築できる力、そのために必要な戦略やリソースを判断する力
2 目標言語の書き言葉や話し言葉を使って、要約、言い換え、再構築、翻案、短縮を早く、正確に行う力
3 翻訳ニーズに対して情報源の妥当性と信頼性を評価する力
4 翻訳ニーズに対してテーマおよび分野別に固有の知識を獲得、発展、使用する力(概念のシステム、推論方法、表現基準、専門用語と文章化、専門的な情報源などの習得)
5 特定の翻訳に関連する指示、スタイルガイド、または慣例に従って翻訳する力
6 ソース言語から、一般的及び専門的資料を「目的に沿って」ターゲット言語に翻訳をする力
7 適切なツールや技術を使って、さまざまな記録メディアの文章を翻訳する力
8 公共サービスの翻訳・通訳、Webサイトやビデオゲームのローカライズ、ビデオ解説、コミュニティ管理など、異文化間コンテキストで翻訳・調整を行える力
9 特定の状況、相手、制約を考慮しつつ、使用言語(Working language)で、目的にあったテキストを作成する力
10 メタ言語(対象言語を説明する言語)を使用し、理論的アプローチを適用して、自らの翻訳方法や選択肢を分析、証明する力
11 規格または特定の品質目標に従い,自分の仕事や他人の仕事をチェック,見直し,および修正する力
12 適切なツールや技術を用いて品質管理方法を理解、実施する力
13 機械翻訳(MT)の品質向上のため、適切なプリ・エディット(前編集)技術を使う力(*)
14 求められる品質および生産性に従って、適切な技術で機械翻訳(MT)にポストエディットを施す力及びデータの所有権とデータセキュリティの重要性を認識する力

(*)通常のプリ・エディットの例:例えば主語が省略されがちな日本語原稿に予め主語を追加する、長文を短い文章に分ける、改行の位置の確認、などが挙げられます。

領域3 技術(TECHNOLOGY)

技術とは、現在および未来の翻訳技術を翻訳業務に取り入れるための知識とスキルのことで、機械翻訳(MT)の基本的な知識や、ニーズに応じたMTを使える能力のことを指します。

15 オフィスソフトを含む最適なITアプリケーションを使える力。また、新しいツールやITリソースに迅速に対応する力
16 検索エンジン、コーパスツール、テキスト分析ツールやCATツールをうまく使う力
17 動画やマルチメディアファイルなどのファイルやその他メディア/ソースを前処理、処理、管理する力と、ウェブテクノロジーを駆使する力
18 機械翻訳(MT)の基礎と翻訳への効果を把握する力
19 翻訳フローにおける機械翻訳(MT)の妥当性を評価し、適切に導入する力
20 業務フロー管理ソフトなど、言語・翻訳技術をサポートするツールを使う力

領域4 個人と対人(PERSONAL AND INTERPERSONAL)
しばしば「ソフトスキル」と呼ばれる、卒業生の適応性や雇用適性を高めるスキルを指します。

21 時間、ストレス、仕事量を計画し管理する力
22 納期、指示、仕様を遵守する力
23 バーチャル環境、多文化あるいは多言語環境で最新のコミュニケーション技術を適切に使って共同作業をする力
24 業務目的のため責任を持ってソーシャルメディアを利用する力
25 職場環境の組織的・物理的人間工学を応用する力
26 個人戦略や協調学習を通じて、能力や知識の自己評価、アップデート、向上を継続して行う力

領域5 サービス提供(SERVICE PROVISION)
顧客意識、顧客との交渉からプロジェクト管理、品質保証に至るまで、翻訳および言語サービスの実施に関わるすべてのスキルを指します。

27 社会言語産業の新しい需要、新しい市場要件、新しい業務形態をモニターする力
28 文書および口頭でのコミュニケーション技術を用いて将来のマーケティング戦略をたて、既存顧客にアプローチ、新規顧客を開拓する力
29 クライアント、言語サービスの受け手、その他のステークホルダーの要求、目的、目標を明確にし、その要求にあった適切なサービスを提供する力
30 納期、料金/請求書、労働条件、情報へのアクセス、契約、権利、責任、言語サービス仕様、入札仕様などをクライアントと交渉する力
31 翻訳者や他のサービスプロバイダーが関わる翻訳プロジェクトの企画、予算、管理をする力
32 語学サービスを提供する際に適用される規格を理解し、実行する力
33 特定の品質基準クリアに必要な、品質管理および品質保証手順を適用する力
34 プロの倫理規範や基準(機密保持、公正な競争など)を遵守し、ソーシャルメディアや職業団体を通じて他の翻訳者や言語プロバイダーとネットワークを構築する力
35 言語サービスやポリシーを分析・検討し、改善策を提案する力

・・・こう並べてみると、35項目はさすがに多いですね。全て出来たら即日翻訳者、あるいは翻訳のプロマネになれそうです。でもよく見ると、実は日本の翻訳会社がコツコツOJTで社員教育していることとほぼ同じ内容のようにも見えます。新しいCAT(翻訳支援)ツールが発表されたら使ってみる、色んな機械翻訳を試してみる、様々な原稿の分析が出来るようになる、お客と事前に金額や納期、仕様を相談して決める、新聞を読んでプロジェクトや顧客動向を探ったり、ISO規格を勉強したり、動画翻訳などの新規依頼に対応したりする・・など、日本では各社がある意味手探りで行っていることに似ているなと感じます。ただ、これらの内容が、主にヨーロッパで系統をたててしっかり大学院の高等教育に生かされているというのは驚きです。さすがCEFRなど、言語について深く考えてきた歴史があるなと感じます。

また、早くから機械翻訳の取入れが検討されていたことも分かります。EMTが改訂されたのが2016年ですが、google翻訳がニューラルネットに基づく機械翻訳 (Neural Machine Translation) を導入したのもこの年です。EMTを見直すときにはすでにAI翻訳の未来も見据えていたのでしょう。

相対的にヨーロッパでは翻訳料金も通訳料金も日本より高く、時々日本から金額交渉をお願いしても安すぎると断られることがあります。翻訳・通訳業界自体が専門家集団として認められているだけでなく、業界全体も底上げをする努力をしているようです。日本の小さな民間翻訳会社としては、そのような大学と産業界の強い協力体制は羨ましい限りです。(鍋)

*working language :日本ではあまり聞きなれない言葉です。翻訳や通訳でいえば実際に業務で使用するソース言語やターゲット言語になりますが、一般的にはマルチナショナルな環境で実務で使う言語のことを指します。例えば国連の公用語(official languguage)は6言語(アラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語、スペイン語)ですが、各委員会などでは参加する国などによりフランス語がつかわれたり、アラビア語がつかわれたりしており、それらの言語はworking langugaeと呼ばれています。
参考:
国連の公用語
国際機関における語学能力基準について 横山和子

<めざせ語学マスター>日本語教育や語学に関する他のブログはこちら
ヨーロッパで翻訳を学ぶ
ヨーロッパで通訳になる
CEFR(セファール)の複言語主義とは
CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)って何?
ジョハリの窓
ルース・ベネディクトの「菊と刀」
サピア=ウオーフの仮説
日本語教育能力検定試験に合格しました!
メタファーとは
プルプル、ゴロゴロ、オノマトペ
KJ法とヴィゴツキー
チャンクとは?
日本語教育能力検定試験 今年も受けました
記憶とは
高コンテクスト文化と低コンテクスト文化
バイリンガリズムについて
言語は12歳までに習うべき!? 臨界期仮説について
英語は聞いていたらペラペラになる・・・か?(クラッシェンのモニター・モデル)
異文化遭遇!カルチャーショック
チョムスキー・ナウ(Chomsky, Now)!
「宇宙へ」は行くけれど「トイレへ」は行かない?―「へ」と「に」の違い
「は」と「が」の違い
ネイティブチェックは「ネッチェッ」になるか。拍(モーラ)と音節
ハヒフヘホの話とキリシタン
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ネイティブ社員にアンケート!
RとLが聞き分けられない!?
シニフィエとシニフィアン
文を分ける 文節&語&形態素
やさしい日本語
来日外国人の激減について
学校文法と日本語教育文法
日本語教育能力検定試験に落ちました

 

 

 

<お知らせ>メールシステム復旧のお知らせ

2022年7月22日

平素はフランシールをご利用いただき、誠にありがとうございます。

2022年7月20日夕方から7月22日朝にかけて、弊社メールシステムに障害が発生し、メールが送信されない事象がございました。

現在は復旧が完了し、正常にご利用いただける状態となっております。

大変ご迷惑をおかけしましたこと、深くお詫び申し上げます。

今後、再発防止に向け万全を期すとともに、お客様へのサービス向上に取り組んでまいります。どうぞよろしくお願い申し上げます。

株式会社フランシール 代表取締役 伊藤尚江

<お知らせ>メール送受信の不具合について

2022年7月21日

2022年7月20日の夕方から7月21日12時30分現在、当社で契約しておりますメールプロバイダで不具合が発生しており、メールの送受信が出来ない状況が発生しております。弊社スタッフへ急ぎでご連絡を頂きました方につきましては、お手数をお掛け致しますが、下記のメールアドレスまでご連絡いただけますようお願いいたします。

franchir.japon@gmail.com (最初のjapon はjapan ではありませんのでご注意ください。)
電話 03-6908-3671
メール復旧に向けて対応を進めますのでどうぞよろしくお願いいたします。
株式会社フランシール 代表取締役 伊藤尚江

<ある通訳の日誌>(仏語通訳の)ウソみたいなホントの話

2022年7月20日

ウソみたいなホントの話
① -高崎市内の或る額縁屋でー

私は26歳で日本を出て、帰国したのは50歳のころでした。24年間の異国暮らしだったわけです。

50歳で日本へ帰国し定着しました。それも故郷高崎です。東京の知人がODA関係の通訳会社を始めたので、そこへフリーランスの資格で参加し、フランス語の通訳稼業を始めました。
その会社では、フリーランスとはいえ、その会社名義でODA案件の海外出張をしますから、その会社の名詞を持ちます。

その場合、名刺には [○○通訳エージェント フランス語通訳 橋爪雅彦]

一方、通訳エージェントから依頼を受けた通訳業務の他に、フリーランスですから、適当な複数の会社からの通訳の依頼もあり、私自身、私用の名刺を持ちました。

その場合、名刺には [仏語通訳 橋爪雅彦]。

フランス滞在時代に購入した古い版画があり、それを額縁に入れようと思い立ち、高崎市内の額縁屋を訪ねました。
古い版画とともに、私は自分の名刺「仏語通訳 橋爪雅彦」も差出しました。

この名刺を額縁屋の老いた主はしげしげと眺め、
「いやあ、橋爪さん、仏(ほとけ)の言葉を通訳するのですか。つまり霊界にいる死者たちと通信が出来るわけですね。霊界通信!こりゃあ驚きです。でも無理なことじゃあないです。橋爪さんの所はお寺ですからね。」

故郷の額縁屋ですから、私の家のことはよく承知しています。それに私自身も19歳の時点で、正式に坊主の資格(住職資格)を取得していますし、実際、頭を丸め、故郷高崎市内で僧服姿のままあちこち檀家廻りもしていましたし、そういう姿を額縁屋の主も知っていましたから、額縁屋の主がそういうのも無理ありません。

私は彼の言葉に驚き、
「いいえ、仏(ほとけ)の言葉ではなく、フランス語の通訳です。」

「えっ!」と今度は額縁屋が驚きます。
私もあわてて「私も故郷を離れ、長い間フランスとアルジェリアにいましてね。日本へこの間戻ってきて通訳稼業を始めたところなのです」。

額縁屋は私の顔を眺め、
「ははあ、そういうわけですか。こりゃあ、とんだ誤解だったのですね。それにしてもどうして坊主を止め、フランス語の通訳などする気になったのですか?」
私は「いろいろな事情でね。」とお茶を濁しておきました。

それからしばらくよもやま話をして額縁屋を去りました。仏語通訳=仏(ほとけ)の言葉の通訳=霊界通信とは恐れ入った誤解でした。それ以来、自分用の名刺には仏語通訳と書くのは止めました。カタカナを使いフランス語通訳と書くようになりました。

② Mフランス社での出来事
―仏文学部仏文学科―

26歳で日本を立ち、フランスには丸9年間滞在しました。9年目の滞在のころ、Mフランス社(日本のM商事のフランス支社)が、アルジェリアのアルジェ駐在員事務所で業務を担当する人間を募集していました。それに応募し、50人ほどの応募者の中から私が偶然選ばれました。丁度、アルジェ駐在員事務所の所長がパリのMフランス社へ来ていて、私を面接しました。

アルジェの所長は50歳がらみの渋い面貌の人物で、私を目の前にみて、
「橋爪君か。君はパリでフランス語の勉強を相当やっていたみたいだね。ううんと君の履歴書には、仏文学部仏文学科と書いてあるが….」とそこまで言うと、お付きの課長が隣からあわてて口を出して、
「所長、所長、違いますよ。仏教学部仏教学科ですよ」
所長は「アッ」と声を上げ、「ああそうか、おれの読み間違えか」と言い放ち、
「ところでフランス語の方は流暢のようだけれど、パリで相当やったんだね。」

所長は続けて「仏教学部も仏文学部も同じようなものだ。君、おれと一緒にアルジェ事務所で頑張ってくれたまえ」と言い、豪快な笑いを浮かべて立ち去りました。

仏教学部仏教学科と仏文学部(こういう名称の学部は存在しません)仏文学科も同じようなものだと豪快な笑いを浮かべて立ち去った所長も相当な人物と云わねばなりません。彼とは首都アルジェで3年間、彼が転勤するまで楽しく働くことができました。彼との3年間、所長宅にてよく徹夜でマージャンをして過ごしました。なにしろマージャンが好きな御仁で、私が選ばれたのもこのマージャンのお陰ではないかといぶかったほどです。
彼がアルジェリアを立ち去った後10年間もアルジェで私は楽しく働き続けることができたのも、その基礎を作ってくれたのはこの豪快な所長でした。

13年間のアルジェリア滞在、イスラム原理主義のテロさえなければ、一生、あのままアルジェリアに滞在していただろうと想像します。1995年、イスラム原理主義の嵐が吹きすさぶ中、アルジェ事務所は閉鎖となり、私の楽しいアルジェリア生活も終止符を打つことになり、日本へ戻ることになりました。

その所長の言動の中で忘れられない言葉があります。
「橋爪君、君は群馬県の出身だったね。群馬の田舎に鬼石(おにし)という地名の村があるが、そこはね、どこへ行っても美人ばかりなんだ。品性もいいんだ。どうしてこんなに美人が多いんだろうと自分でも考えてみたが、よくわからない。が、ある人が言うには、平家の落人部落で、平家の血筋をひいているからじゃあないかと」。
私は、
「それは初耳です。鬼石という部落は知っていますが….」
彼は、まじめな顔で、
「実は、俺の女房、この鬼石の出身なんだ。」と臆面もなく言い放ちました。

―終わりー

フランス語通訳 橋爪さんの他のブログも是非ご覧ください。

橋爪さんの旅ブログはこちら↓

2020年12月23日マダガスカル④~マダガスカル風景~
2020年11月27日 マダガスカル③~2009年のマダガスカル政治危機
2020年11月26日 マダガスカル②
2020年11月17日 マダガスカル
2020年10月27日エチオピア
2020年10月15日 ジブチ②
2020年10月9日 ジブチ
2020年 8月25日 フランスのミヨー大橋
2020年 8月11日 碓氷峠とアプト式鉄道
2020年 6月8日 月夜野にて
2018年 6月8日 童謡「ふるさと」の故郷
2018年 4月18日 セネガル☆アフリカ再生記念碑
2018年 4月9日 セネガル☆ゴレ島にて
2016年 5月12日 ギニアだより☆VOL.3

詩の世界 詩のこころ
フィッツジェラルド もり りょう 訳
オーマー・カイヤム「ルバイヤート」四行詩

第1回
第2回
第3回
第4回
第5回
第6回

 

 

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