フランシールのフランス語といえば、JICAのアフリカ案件の翻訳や通訳派遣を数多く取り扱っているのですが、今日は日本から遠く離れたアフリカから、Sapeur(サプール)についてのお話です。
実は私もテレビ(千原ジュニアの番組)を見て初めてその存在を知りました。2016年には渋谷西武で写真展も開かれたそうですね。「サプール協会日本支部」という組織もあるようです。
「サプール」とは?
サプールとは、コンゴ共和国、コンゴ民主共和国で90年以上の歴史を持つ独自の文化で、貧しくともおしゃれを心から楽しみ、世界中の人々に愛と平和のメーセージを発信している紳士達です。(サプール協会日本支部ウェブサイトより)
サプールという名前の元になっているサップ(SAPE)とは、「Société des ambianceurs et des personnes élégantes」の頭文字をとった言葉で、文字通りに直訳すれば「エレガントで、場を盛り上げる人々の集まり」という意味です。この「ambianceurs」という単語の意味が良くわからず、同僚のフランス人Dさんに聞いてみたところ「雰囲気ambianceを盛り上げる人」という意味で、パーティーやイベントの盛り上げ役のことを指すのだそうです。
ラルース辞典にはこんな記載もありました。
En Afrique, homme qui fréquente les bars, les boîtes de nuit ; fêtard.
(アフリカにおいて、バーやナイトクラブに出入りする男性。お祭り騒ぎの好きな人。)
つまり、最近の言葉で「パリピ」ということなのでしょうか…… !?
WikipediaによるとSAPEの日本語訳は「おしゃれで優雅な紳士協会」や「エレガントで愉快な仲間たちの会」などいくつかあるそうですが、いずれも翻訳者の苦労がうかがえます。なお英語のウェブサイトではThe Society of Ambiance-Makers and Elegant Peopleと訳されていました。
さてフランスの植民地となっていたコンゴ共和国、ベルギーの植民地となっていたコンゴ民主共和国はそれぞれが長い戦乱を経験し、今も開発途上国です。決して安定しているとはいえない国で、サプールたちは収入のほとんどを次ぎ込んで高級ブランドのスーツを購入し、街を闊歩しています。そこには、ファッションは平和の象徴であり、華麗なファッションに身を包むことで、人としての品格を高め、戦いや武器を否定するというメッセージが込められているのだそうです。
外見もかっこいいですが、生き方がかっこいいサプールにこれからも注目したいです。
(上畑)
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