Écriture inclusive (性中立的言語・ジェンダーインクルーシブな書き方)
2020年6月のフランスの市町村議会選挙では、緑の党のグレゴリー・ドーセット氏が
18年間リヨン市長を務めていた社会党のジェラール・コロンを破ってリヨン市長に当選しました。
驚くことに、彼が最初にとった政策は、リヨン市でécriture inclusive (性中立的言語・ジェンダーインクルーシブな書き方)を定めることでした。革新派から、フランス語標準語における性別に関して、女性形より男性形の方がその地位を確立してしまっているとの批判の声が上がっていたためです。
フランス語では、男性名詞および女性名詞という文法的な概念がありますが、大多数の役割や職業を指す場合の名詞は男性名詞です。その役割や職業に女性が含まれていても複数になると男性形になり、結果、男性しかいないという印象を助長してしまいがちです。これを回避するため、スペルの変更が求められてきました。
しかし、男女平等に貢献する政策だと見られる一方で、厳しい立場を示す専門家もいます。フランスの国立学術団体アカデミー・フランセーズは「この書き方は危険だ」と述べています。反対派は「単語のスペル変更だけでなく、文字の後ろにドット(.)を追加することは、障がい者や外国人にとってただでさえ難しいフランス語をさらに読みにくくする」といっています。
例えば、この新しい書き方では「inspecteur」(検査官)という単語は男性、女性が混じる複数になると、「inspecteur.rice.s」となりますが、文章の終わりのピリオド(.)と、その特殊な字体のドット(.)との区別が分かりにくくなる心配があります。
それでもドーセット氏は、「écriture inclusive (性中立的言語・ジェンダーインクルーシブな書き方) の重要性を強く信じている」と発言しています。
個人的には、ドットを入れる書き方をやめた方がいいと思います。
フランス語を勉強したい人の数が減少すると、フランスという国の魅力も失われ、間接的に経済まで影響が及ぶとも考えられます。
例えば、Les coordinateurs.rices de Franchirではなくて、Les coordinatrices et les coordinateurs de Franchirと現した方が良いと思います。ドットを使わず女性を強調する書き方が既にあります。(ダミアン)
コメントを残す