<めじろ奇譚> ロシアのコロナ状況と対策

2021年6月10日

ロシアでのコロナウイルス新規感染者は1日で1万人を超えることはしばしばあります。特にロシアの最大都市であるモスクワで1日で4,000人ほどの新規感染者が報告されることがよくあります。また、ロシア全体の累計感染件数は500万以上あり(総人口の3.5%程度)、コロナウイルスに関係のあると思われる死亡は120,000件も超えています。ただ、集計方法を変えればさらに大きい数字を出せるのではないかという意見もあり、感染者・死亡者の数はロシア国内で論争の的となっています。

パンデミックが勃発直後、ロシア国民でも政府でも「ただのインフルエンザだ」というような過少評価が圧倒的でしたが、感染者数が爆発的に増え始めた途端に、ロシア政府がほかの国と同じまたはそれより厳しい措置をとりました。そのうち、不要不急の外出に対する罰金、マスクとゴム手袋の着用義務化、入国制限、医療用マスクの輸出禁止、公共交通機関での無作為検査、大規模なイベントの中止などが挙げられます。また、展示場や公園などの公共施設が一時的な病院として利用されるようになった一方、遊園地、映画館など娯楽施設が休業となりました。ほとんどのロシア人にとっては、「自宅、最寄りのスーパー、条件付き通勤」の繰り返しがライフスタイルとなりました。

しかし、2020年の冬からロシア製ワクチン「スプートニクV」などの接種が開始され、規制にもかかわらず外出している人の姿がもっとよく見かけられるようになりました。このブログを書いている2021年6月上旬の時点でもワクチンを受けたロシアの人口はまだ全体の12%ほどですが、「コロナ疲れ」のせいか、すでにパンデミック前の生活に戻っている人が少なくないという印象を受けられます。また、それ以上ロシア経済を止めるのは限界があるという恐れからか、コロナ対策として導入された規制が緩和の方向に向かっているのではないかと感じられます。ロシアの学者の中でも、コロナウイルスは将来的に普通の風邪と同じく季節的なものになると考えている方は少なくありません。つまり、ロシア全体は「もう乗り越えられたよ」というムードになっています。

ただ、ロシアへの入国に関してはまだすべての制限が解除されているわけではなく、これからのコロナ収束を願いつつ、今後の入国制限の緩和に期待できればと思います。ちなみに、フランシールでは、国境を超える方々を応援してロシア語や他の言語の通訳や翻訳のサービスを提供しておりますので、お手伝いが必要な場合はぜひお声掛けください。(ロシア語担当)

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