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<めざせ語学マスター>バイリンガリズムについて

2021年9月28日

学生のとき、両親の都合で幼いときに海外に行っていた、というクラスメートが羨ましいと思ったことはありませんか?または、お父さんかお母さんが外国出身だという人にあこがれを抱いたりしませんでしたか?私にとって、バイリンガルはあこがれでした。

翻訳会社に入ってからも「日本語ができていないとちゃんとしたバイリンガルにはなれない」とか、「一度に二か国語を覚えるんじゃなくて片方の言語がしっかり身についてからもう一方を勉強したほうがいい」など、都市伝説的な話をよく耳にしました。今回取り上げるのはそんなバイリンガルについての理論です。

まずは言葉の定義から。
セミリンガル(semi-lingual):二つの言語のうちどちらの能力も十分でない人
モノリンガル(monolingual):一つの言語しか使用できない人
バイリンガル(bilingual):二つの言語がある程度同等に試用できる人
マルチリンガル(multilingual):三つ以上の言語を流暢に使う能力を持っている人
バイリンガリズム(bilingualism):二つの言語を流暢に使う能力を持った人が実際に2言語を運用することや社会の中で二つの言語が使用されること

さらにバイリンガルは下のように分類されます。

① 二つの言語の言語能力による違い

均衡バイリンガル(balanced bilingual )と偏重(不均衡)バイリンガル(unbalanced bilingual)

均衡バイリンガルは2つの言語をほぼ同じバランスで、ネイティブのように使える人のことです。
偏重バイリンガル(不均衡バイリンガルと呼ぶこともあります)は、2つの言語の能力に差があって、どちらか一方のほうが優勢であるような場合です。

    

 (上図)均衡バイリンガル(balanced bilingual )

(下図)偏重(不均衡)バイリンガル(unbalanced bilingual)

② 二つの言語を習得する順番の違い

連続バイリンガリズム(successive bilingualism)と同時バイリンガリズム(simultaneous bilingualism)

子供が家庭で第一言語を習得し、その後小学校などで第二言語を習得してバイリンガルになる場合を連続(あるいは継続/後続性)バイリンガル(consecutive bilingualism/sequential bilingualism)といい、国際結婚などで母親と父親が別々の言語で話しかけて育てた場合は同時バイリンガル(simultaneous bilingualism)といいます。

(上図)連続バイリンガリズム(successive bilingualism)

(下図)同時バイリンガリズム(simultaneous bilingualism)

 

③ 2言語の維持方法の違い

付加的(加算的ともいいます)バイリンガリズム(additive bilingualism)と削減的(減算的ともいう)バイリンガリズム(subtractive bilingualism)

第二言語や文化が加わっても、第一言語の文化にとって代わるのではなく、価値が付加されると考える場合が付加的(加算的)バイリンガリズムで、第二言語を学ぶことで、学習者の第一言語や文化を損なう場合を削減的バイリンガリズムと呼びます。

(上図)付加的バイリンガリズム(additive bilingualism)

(下図)削減的バイリンガリズム(subtractive bilingualism)

 

 

イマージョンプログラムとサブマージョンプログラム

加算的バイリンガリズムを推奨するためのプログラムが、1970年代にカナダで始められたフレンチ・イマージョン・プログラムです。カナダでは英語とフランス語が公用語とされており、このプログラムは幼稚園、小学校、中学校などの選択制プログラムとして行われました。このプログラムは今も続いていて、英語が母語の生徒は、フレンチ・イマージョン・プログラムに、フランス語が母語の生徒は英語のイマージョン・プログラムに参加することができます(例:カルガリー教育委員会サイト)。母語の発達、帰属意識、学力が犠牲にならないようにしながら、母語以外の外国語を習得するためのプログラムになっており、幼いうちから他の言語に慣れることで、語学だけでなく、問題解決能力や、創造性も育てることができるとされています。

イマージョンプログラムと逆に、削減的バイリンガリズムを誘発するのサブマージョンプログラムです。家庭で現地語を使用しない移住者・外国人の児童生徒が現地の学校に投入された場合がこのケースにあたります。外国語で学ぶ環境に入っても、実際に現地語での教科学習が可能になるまでには長い時間がかかります。この状況により母語を使わなくなったり、親子の交流の質が低下したり、学業遅滞、帰属意識混乱が発生する可能性があります。転勤でアメリカに行った家族の子供がアメリカの学校に入学する、日本に移住してきた家族の子供が日本の学校に入学する場合がこのケースにあたります。子供により、現地語を早く習得できる子もいますが、途中でおぼれてしまう子もいます。

イマージョンとサブマージョン、どっちも似ている英語ですが、イマージョン(immersion)は「ちょっと潜る」といった、泳ぐ人に例えると体が上から見えているようなイメージですが、サブマージョン(submersion)は水面より下に体が沈められていて、上からでは泳ぐ人の体が確認できない、スキューバダイビングのようなイメージです。潜水艦もサブマリーン(submarine)ですね。(鍋田)

参考:アルク 第二言語習得論
新版 日本語教育事典


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